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中川運河・運河の森「水辺で乾杯」

梅雨明けまで、あと少し。

7月7日。

昼間は雨が降るのか降らないのか、
はっきりしない曇り空だった。

それが夕方になるにつれて、
少しずつ雲が切れ始める。

日差しが戻ると、一気に夏らしい暑さがやってきた。

上前津駅で自転車を借り、中川運河へ向かった。
少し漕いだだけで汗がにじみ、喉が乾いていく。

目指すのは、運河沿いにあるギャラリー「運河の森」。
この日は「水辺で乾杯」が開かれる日だった。

午後7時7分、全国の水辺で一斉に乾杯をするイベントだ。

夕暮れの中川運河沿いに建つ運河の森ギャラリー外観。
名古屋・中川運河沿いの運河の森ギャラリーに集まる人々と水辺で乾杯2026

運河へ着くと、思っていた以上に人が集まっていた。

近所のお母さんたちや子どもたち。
仕事帰りに立ち寄った人。
ギャラリー関係の人。

運河沿いには、あちこちに小さな人の輪ができていた。

少し話して、また別の輪へ。
誰かが場をつくるわけでもなく、
それぞれが思い思いの時間を過ごしている。

運河の森2階から見下ろす中川運河と水辺で乾杯2026の会場風景。
運河の森に設置された本格的なピザ窯で焼き上げるピザ。

クラフトビールのトラックが停まり、
その隣には本格的なピザ窯まで運び込まれていた。

中川運河の水辺に、ピザ窯。
「これ、めちゃくちゃいいな。」

少し離れたところには、移動式の駄菓子屋。

子どもたちはお菓子を選び、
大人たちはその様子を笑顔で眺めている。

どれもイベントのために用意された景色なのに、
不思議と無理がない。

運河の夕方へ、すっと溶け込んでいた。

中川運河・運河の森で開催された「水辺で乾杯2026」で、午後7時7分に乾杯をする参加者たち。

午後7時7分。

それぞれが飲み物を手に空へ掲げる。

「乾杯。」

ほんの数秒。

それだけのことなのに、運河には特別な空気が流れた。

ゆっくりと夕方が深まっていく。

暗くなるにつれて、水辺の音が少しずつ近くなる。

夕暮れの運河の森ギャラリーに集まる人々と中川運河の水辺。
夜の運河の森ギャラリーで営業するクラフトビールのキッチントラック。

虫の声。

ガタン、ゴトン。

すぐ横を走る名鉄やJRの電車。

子どもたちの笑い声。

どこかで缶を開ける音。

運河には、いろいろな音がある。

それでも、不思議と騒がしくない。

夕方から夜へ変わる時間を、
そのまま包み込んでくれるようだった。

ささやかだけれど、贅沢なローカルの時間。

運河の森ギャラリーでターンテーブルを囲み音楽を楽しむDJ。
運河の森ギャラリーでテルミンを演奏する参加者。

暗くなってくると、運河の森ギャラリーでは
ターンテーブルからレコードが流れ始める。

その日は、ギャラリーの中でテルミンを演奏する人まで現れた。

楽器には触れず、
両手を空中で動かしながら奏でる、
不思議な音。

風のようでもあり、鳥の鳴き声のようでもある。

運河へやって来る鳥たちと会話をしているような音色だった。

ギャラリーの中は、その名の通り、さまざまな表現であふれている。

それなのに、それぞれがぶつかることなく、
一つの空気としてゆるやかにつながっていた。

窓の外ではストリングライトが水辺を照らし、
レコードの音とテルミンの響きが、夏の夜へ静かに溶け込んでいく。

帰りは歩くことにした。

上前津までは少し距離がある。

でも、この日は歩きたかった。

運河を離れても、水辺で過ごした夕方は、まだ身体のどこかに残っている。

今池まで歩いたら、味仙で台湾ラーメンでも食べて帰ろう。

そんなことを考えながら歩く夜道も悪くない。

運河がある街には、こんな夕方がある。

振り返ると、
運河の灯りがまだ見えていた。


運河の森 〒454-0005 愛知県名古屋市中川区西日置2丁目12−15
Instagram: @unganomori

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T.hori

名古屋生まれ。 メルボルン、マニラを経て、約20年ぶりに地元へリターン。 街も、自分も、すこし変わっていて。 いまは、ローカルな手触りを探しているところ。 Tewatashi Projectでは、個人的で普遍的な地元の日常を、そっと切りとりたいです。

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