Local Stories and Daily Life from Nagoya
運河の森ギャラリーへ ー 名古屋を歩くローカル時間。

名古屋が今年初めて30度を超えた、
そんなニュースを見た日だった。
まだ5月なのに、
空気はもう少し夏寄りで、
街全体がうっすら熱を持っている。
今日は、
中川運河沿いにある
運河の森ギャラリー まで、
落語を聞きに行く。
もともとは、
中川運河地区のガススタンドとして使われていた建物。
以前は「中川運河ギャラリー」という名前だった場所。
最近は、
展示やイベント、
もっとゆるやかにつながる
場所になってきているらしい。
地下鉄に乗るため、
家から駅まで歩く。
いつもとは少し違う道を選ぶ。

池下駅近く、
遠くにタワーマンションが見える道。
きっと、
住んでいる人には当たり前の景色なんだろうけど、
古い街並みの向こうに突然現れる高層の建物に、
少しだけドキッとする。
地下鉄で千種駅へ。
普段あまり乗らないから少し嬉しい。


そこからJRに乗り換える。
慣れてないから戸惑う。
ベテランのように振る舞ってなんとなく人の流れに
乗りながら意外とスムーズにJRの改札口に。
ランチのタイミングを完全に逃していて、
もうコンビニでいいかと思っていたら、
ホームで
住よし 千種駅店 に気づく。
立ち食いきしめん。
むしろ、
これがいい。
でら熱い。

一味を少し多めにかけて、
電車が来る前に急いですすり込む。
普段の生活の延長では、
案外こういう選択はしない。
でも、
今日はこういう流れの日だった。


金山で乗り換えて、
尾頭橋駅で降りる。
そこから運河の方へ歩く。
やけに天井の低い高架下を、
何個も潜り抜けていく。
名鉄電車。
遠くに見える名古屋駅のビル。
どこか、
“凝縮された名古屋”みたいな景色が続く。
普段あまり見ない街の角度が、
今日はやけにきれいだ。
普段見えない景色がきれいだ。


5月とは思えない暑さに、
少し汗も出てくる。
歩いていると、
だんだん見えてくる運河。
建物や倉庫、
その向こうに見える
松重閘門 。


運河の水面に映るその姿もきれいで、
こういう景色は、
案外見落としている。
名古屋に住んでいても、
こうして近くまで来ることは、
あまりない。
でも、
近くで見ると、
ちゃんと時間の重みがある。
でも、
近くまで来ると、
ちゃんと時間の重みがある。
その向こう側に、
運河の森。


この日の『運河の森寄席』は、
運河と鉄道を眺めながら落語を楽しむ会。
落語家は、
大垣出身の
登龍亭獅鉄 さん。
「ドクターイエロー」や、
尾張落語「熱田船」など、
鉄道や名古屋の空気感を混ぜた演目が並ぶ。
名古屋弁も、
名古屋駅が登場する話も、
こういう運河沿いで聞くと、
少し景色が変わる。

外では、
運河の水がゆっくり揺れていて、
時々、
鉄道の音が通り過ぎる。
水辺の風と、
落語の声。
なんだか、
名古屋のローカルな贅沢をしている気分になる。

ギャラリーの責任者さんの話によると、
これからは、
もっと多くのアーティストに開かれた場所にしていくらしい。
カフェや、
水辺でBBQができるような構想もあるという。
住んでいる街なのに、
まだ知らない景色や時間が、
こんなにある。
普段通らない道を歩くと、
街は少し違って見える。

5月の終わり。
運河の向こう側を、
がたんごとんと電車が通り過ぎていく。
水の向こうに見える、
行き交う電車。
初夏の熱を少し含んだ、
名古屋のローカルな午後だった。