Local Stories and Daily Life from Nagoya
カフェ・ド・豆田 – 名古屋の純喫茶記録

「昔からそこにある喫茶店」は、
どんな街の流れを見てきたのだろう。
その時間を、
少しだけ残しておく。

名古屋・瑞穂区にある「カフェ・ド・豆田」。
瑞穂区役所駅前の交差点から一本入った、
静かな通りの喫茶店。
かすれた看板。
外からは様子がうかがいにくい外観に、
ほんのわずかにためらいが生まれる。
店からお客さんが出てきて、
その流れのまま中に入る。
一歩入ると、空気が変わった。
想像よりも、ずっと生活の音がある。
会話があちこちから聞こえ、店内に広がっている。
かすかに残るタバコのにおい。
明るい洋楽が、控えめに流れている。
深い木の色のテーブル。
壁に埋め込まれたライト。
それぞれの時間をまとったものたちが、静かに並んでいる。
「置いときまーす」
そう言って、コーヒーチケットを机に残して帰っていく。

ここでは、それがいつものことらしい。
店主に聞くと、店は46年続いているという。
「この辺りもだいぶ変わったよ。」
近くにあるバローの場所には、
かつて靴の工場があった。
大きな道路ができ、
街の景色も少しずつ変わってきた。
それでも、この店には変わらず人が来る。
平日にもかかわらず、客足は途切れない。

「近くに集まれるお店が減ったからね」
そう言って、少し笑う。
「平日は常連さんが多くて、
土日は若い人も来るよ。
この雰囲気がいいってね」
新聞を読みながら、ひとりで過ごす人。
気の知れた仲間と、待ち合わせて言葉を交わす人。
それぞれの時間が、ここに流れている。

外へ出て、遠目に店を見る。
次は、迷わず入れそうだ。
さっきまで中にいたことを思い出すと、
そのかすれた看板にも、不思議と愛着が湧いてくる。
カフェ・ド・豆田 〒467-0864 愛知県名古屋市瑞穂区豆田町4丁目14−18