名古屋の街を、そっと記録する。

Local Stories and Daily Life from Nagoya

カルチャー

タクちゃんラーメン 。下之一色に残る、そのまんま名古屋

名古屋市中川区・下之一色町にある、タクちゃんラーメン。

庄内川と新川に挟まれたこの一帯。
かつては漁師町として栄えた場所だ。

下之一色港のまわりには魚市場が広がり、
問屋や店が並び、下之一色商店街は活気に満ちていた。

名古屋市中川区のタクちゃんラーメン周辺の街並み、下町の静かな下之一色商店街。

いまではほとんどがシャッターのまま。
人通りは少なく、時々、車が抜けていくだけ。

いま、その面影の中に、
タクちゃんラーメンは残っている。

隣には婦人服屋。
少し離れた場所に、かつお節屋がぽつりと残る。

名古屋市中川区のタクちゃんラーメン外観、昭和の雰囲気が残るローカルなラーメン店
名古屋市中川区タクちゃんラーメン近くの商店街風景、昔ながらの店舗が並ぶ通り

色あせた黄色のテント看板。
文字はところどころ剥がれている。

元公設市場のような古びた建物の奥。
ポツンと提灯の灯り。

タクちゃんラーメンは、
下之一色商店街に残る数少ない飲食店のひとつ。

昔ながらの中華そば、餃子、チャーハン。
町のラーメン屋だ。

建物は1960年代。
店のオープンは1986年。

バブルの少し前から、
この場所で続いている。

約40年。

名古屋市中川区のタクちゃんラーメンの店内風景、赤い提灯と自転車が並ぶ昭和の空気感
名古屋市中川区のタクちゃんラーメンのレトロな店内カウンターと昔ながらの雰囲気

店は決してきれいとは言えない。
でも、その古さがそのまま残っていて、
なぜか落ち着く。

5人ほどのカウンターと、
外に無造作に置かれたテーブルと椅子。

どこか東南アジアの屋台のようで、
少し旅をしているような気分になる。

名古屋市中川区のタクちゃんラーメンの厨房と店主の後ろ姿、昔ながらの調理風景

奥では、気さくでやさしい大将が、静かに鍋を振っている。

「最近は若い子も来るでよ。YouTubeとか見てな」

「昭和っぽいもん探しとるんだわ。
 うちはまあ、ほんもんだでよ」

そう言って、ニヤッと笑う。

ラーメンは、シンプルな中華そば。

透き通った醤油のスープに、
ネギとチャーシュー。

余計なことをしていない味。
これがいい、と思える一杯。

名古屋市中川区のタクちゃんラーメンの醤油ラーメン、透き通ったスープとネギのトッピング
名古屋市中川区のタクちゃんラーメンのチャーハン、シンプルで香ばしい昔ながらの味

チャーハンはしっかり味がついていて、
パラっとしている。

気取らないけど、ちゃんと美味い。

営業中、
「餃子、あとで取りに来るで、お願いね」と
近所のおばあさんが顔を出す。

「ほうか、できたら連絡するでよ」と
笑顔で返す大将。

そんなやり取りが、自然に流れている。

食べるだけじゃなくて、
少し寄って、話して、また戻る。

この街に残っている、数少ない人の居場所。

「昔はにぎやかだったわ」と、
タバコをくわえたまま、懐かしそうにこぼす。

名古屋市中川区のタクちゃんラーメンの店主が厨房に立つ様子と夜の店構え

この街で生まれ、働き、
その移り変わりを見てきた人。

レトロ、という言葉では少し軽い。

取り残されているわけでもない。

ここに根を張って、続けてきた場所。

古びた建物の奥に、温かい灯りがある。

人は、そういうものを探して、集まる。

名古屋市中川区のタクちゃんラーメンの店内にある古い壁掛け時計と静かな時間

また来ようと思う。

今度は餃子でもつまみながら、
もう少し話を聞いてみたい。

この町がにぎわっていた頃のこと。
ここで積み重ねてきた時間のこと。

下之一色に残る一軒のラーメン屋。
タクちゃんラーメンは、今日も変わらずそこにある。


タクちゃんラーメン 〒454-0945 愛知県名古屋市中川区下之一色町字北ノ切75

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
T.hori

名古屋生まれ。 メルボルン、マニラを経て、約20年ぶりに地元へリターン。 街も、自分も、すこし変わっていて。 いまは、ローカルな手触りを探しているところ。 Tewatashi Projectでは、個人的で普遍的な地元の日常を、そっと切りとりたいです。

  1. タクちゃんラーメン 。下之一色に残る、そのまんま名古屋

  2. パロマ瑞穂野球場|名古屋にある、ちゃんといいローカル野球場

  3. 100年近い時間を重ねるめん処|仲田本通・森川屋

RELATED

PAGE TOP