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カルチャー

ひかえめな記録: Vol.2|朝9時の沢上商店街

金山駅を出て、信号をいくつか越えたところ。
名古屋市熱田区の沢上商店街には、まだ目覚めきらないまちの匂いが漂っていた。

朝9時、平日。

打ち合わせまで少し時間があったので、なんとなくその商店街を歩いてみた。

電動カートで店の前を通り過ぎるおじいさん、ゆっくり歩くおばあさん、
そして、どこからか聞こえてくる保育園の子どもの声。

日常が、のびをしながら動きはじめたとこだ。

角を曲がるたびに、違う昭和が顔を出す。
立ち止まって見上げた商店の古い看板、植木鉢の隙間に置かれた紙袋、

錆びたシャッターの隙間からのぞく影。

“ひと気がない”とは違う、確かな人の気配と生活感。

沢上商店街は、朝の光の中で、まだ静かに深呼吸をしているようだった。

特別な場所じゃない。だけど、なんだか引き寄せられる気配。
この空気も、音も、すれ違った誰かの後ろ姿も。
思い出はないけれど、懐かしい。

そんな朝の記録です。

名古屋市熱田区・沢上商店街の喫茶店と書店の並び、電動カートで通り過ぎる男性
熱田区沢上商店街の角、電動カートが止まったままの朝の景色
名古屋・熱田区の沢上商店街、シャッター前に置かれた赤い酒箱と選挙ポスター
名古屋・熱田区の沢上商店街。朝のシャッター通りを、白いパンツにサンダル姿の男性がイヤホンで音楽を聴きながら歩いていく。静かな通りに、日常のテンポが混ざる一瞬。
緑に囲まれた名古屋・沢上商店街の理容店前、ゆっくり自転車を走らせる人
沢上商店街の入り口付近(名古屋・熱田区)、歩行器を押すおばあさんと団地のある風景
名古屋・熱田区の空を切り取るように立つ赤白の無線塔。交差する電線の向こうに、朝の青空と街の静けさが広がる。沢上商店街近くでふと見上げた光景。

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Taro Hori

名古屋生まれ。 メルボルン、マニラを経て、約20年ぶりに地元へリターン。 街も、自分も、すこし変わっていて。 いまは、ローカルな手触りを探しているところ。 Tewatashi Projectでは、ハイパーローカルな日常を、そっと切りとりたいです。

  1. ひかえめな記録: Vol.2|朝9時の沢上商店街

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  3. これしか頼まない: Vol.1 八龍の味噌バターラーメンと白ごはん

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