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100年近い時間を重ねるめん処|仲田本通・森川屋

名古屋・仲田本通商店街。
ここに、1928年(昭和3年)創業の
めん処「森川屋」がある。

この店ができたころ、
千種公園のあたりはまだ
陸軍造兵廠千種機器製作所だったという。

店の中には、いろいろな時間が残っている。

湯のみと木のテーブル、静かな店内の昼と店内入口の非常口表示|仲田本通 めん処 森川屋
静かな店内の昼と昔の警報器 | 仲田本通 めん処 森川屋

入り口には、いまではあまり見かけないタイプの
非常口の表示。

昔の警報器も、そのまま残っている。

「昔は店内でタバコも吸えたからね」

そう言って教えてくれる。

トイレは、上のレバーを引っ張って流す昔のタイプ。
若い子だと、流し方がわからないこともあるらしい。

そんな話をすると、
ご夫婦はなんだか嬉しそうに説明してくれる。

森川屋は、
店主であるご主人の実家から続く店だという。

「昔の仲田本通商店街は、
もっと人が多く活気だったよ。」

そう懐かしそうに話す。

名古屋の市電が1974年に廃止されてから、
まちの流れも少しずつ変わっていったという。

人も減り、
気がつけば近くにはセントラルガーデン。

「いつのまにか、おしゃれな街になっちゃったね」

そう言って、少し苦笑いする。

でも街は住宅街として落ち着き、
また違う時間が流れている。

仲田本通商店街にあるめん処「森川屋」の外観|名古屋 千種

森川屋は、昼のほんの短い時間だけ店を開けている。

11時半ごろから、
1時すぎくらいまで。

平日のみ。

「もう昔とは違うからね」

そう言いながら、

「二人でやってるから、
このくらいがちょうどいいんだわ」

と笑う。

それでも昼になると、
地元の人や近くで働く人がふらっと入ってくる。

揚げと蒲鉾がのるやさしい味のしのだうどん|名古屋 仲田本通 森川屋

あんかけうどんとカツ丼ときしめんの定食|仲田本通のめん処 森川屋

メニューはとてもシンプル。

そして味は、甘くやさしい。
食べると、なんだかほっとする。

値段も、今では驚くくらい良心的。

このやわらかい甘さが、
店の空気とよく似ている気がする。

やさしく話してくれるご夫婦と、
長い時間を重ねた店、
そしてこの街の匂い。

そんなものが、
ゆっくりと染み込んでいるような味だった。


森川屋  〒464-0074 名古屋市千種区仲田 2-12-24 

  • 記事を書いたライター
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T.hori

名古屋生まれ。 メルボルン、マニラを経て、約20年ぶりに地元へリターン。 街も、自分も、すこし変わっていて。 いまは、ローカルな手触りを探しているところ。 Tewatashi Projectでは、個人的で普遍的な地元の日常を、そっと切りとりたいです。

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