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カルチャー

金城市場の金城朝市へ ー それぞれの好きが集まる朝

雨の多かった9月が終わり、
ようやく秋らしくなってきた10月。

まだ少し暑さの残る水曜日、
名古屋市北区の「金城市場」で
毎月第1・第3水曜に開かれる金城朝市へ行ってきた。

地下鉄の志賀本通駅や黒川駅から歩いて10分ほど。
住宅街の中に、古い平屋建ての市場が現れる。

名古屋市北区・金城市場の外観。伊藤ハムの古い看板とイースターズナゴヤの看板が残る、トタン屋根の市場

金城市場の窓に貼られた、地域のイベントやライブのポスター

昭和30年に誕生した金城市場。
かつては八百屋や精肉店など20店舗ほどが並び、
地域の台所として賑わっていたという。

今ではその古い空間を活かし、
飲食や雑貨、ファッションなど個性豊かな出店者が集まる
「金城夜市」や「金城朝市」が定期的に開かれている。
地域の人とさまざまなカルチャーが交わる場所だ。


古い市場に、新しい日常


金城市場の通路。昔の「胚芽精米」の看板と赤い提灯の下で、朝市の買い物を楽しむ人たち

中に入ると、むき出しの柱や梁、
コンクリートの床、ところどころに残る昔の看板。
そこに手作りの什器や個性的なお店が並んでいる。

なんだか、かっこいい。

こういう場所、
ちょっとおしゃれすぎて緊張するんだよな。

なんて思っていたけれど、
思いのほか気さくで、
近所の市場らしい空気が流れている。

買い物に来た人と店主が世間話をしていたり、
ふらっと立ち寄っている人がいたり。

金城市場の中に並ぶ雑貨や古道具の店。赤い提灯と昔の精肉店の看板が残る

初めて来たのに、なんだか居心地がいい。

街から浮いているようで、
ちゃんと街に馴染んでいる。

さて、どこから覗いてみようか。


市場を歩けば、気になるものばかり


金城朝市でハンドドリップのコーヒーを淹れる様子

まずは、金山でお店を営む
「ギャラリー喫茶 追憶」でコーヒーを。

ゆっくりとお湯を落とす手元を眺めながら、
金山ローカルな話を少し。

受け取ったカップから、ふわりといい香り。

そのまま市場をぐるぐる。

昭和のかわいらしい雑貨や日用品を眺めたり、
八百屋さんを覗いたり。

どのお店も、売っているものから
店主の好みがなんとなく伝わってくる。

そのうち、お腹も空いてきた。

米粉のクレープ屋さん「クレープマルヤ」で
ハムチーズのクレープを買い、
少し腰掛けてひと休み。

普段は北区でお店をしているそうだ。

クレープもおいしいし、
「いいカメラですね!」と褒められて、2倍楽しい。

行き交う人たちをぼんやり眺める。

平日の午前中から、こんな時間を過ごしている。
ちょっと得した気分だ。

市場の一角には、
昔の精肉店のショーウィンドウが残っていた。

今は「イースターズ名古屋」という
クラフトビールのお店。

北海道を拠点に全国で活動する
ファントムブルワリーの直売所だそうで、
いろんな種類のビールが並んでいる。

昔はここにお肉が並んでいたんだろうな。
そんなことを考えながら眺めていると、
お店の人がいろいろなビールを紹介してくれた。

金城市場にあるイースターズ名古屋で買った、トマトを使ったクラフトビールの缶

クラフトビールには詳しくないけど、
熱を持って話す人の話はおもしろい。

なかでも気になったのが、
トマトを使ったビール。

運転なのでその場では飲めないけれど、
一本買って帰ることにした。

外には腰掛けて飲めそうな場所もある。
今度は夜に来て、
ほかのビールも試してみたい。


誰かの好きに、つられてしまう


「はりとおきゅうとおんがくと」

市場を歩いていると、
何とも気になる言葉が目に入った。

「いとだ治療院」というお店。

金城市場の「はりとおきゅうとおんがくと いとだ治療院」の手ぬぐい

覗いてみると、店主が両手に包丁を持ち、
音楽に合わせて軽やかにステップを踏んでいる。

なんとも楽しそうだ。

台湾由来の包丁マッサージという施術だそうで、
使っている包丁は一本約500gもあるという。

なかなかの光景である。

そんな施術の話から、
いつしか音楽の話になった。

店主は小牧で「中庭音楽祭」という
イベントも開いているそうだ。

そこでおすすめしてくれたのが、
大好きだというDJ HappfatのCD。

このCDについて話してくれる熱量がすごい。
好きな音楽を誰かに聴いてほしいという気持ちが、
言葉の端々から伝わってくる。

「初夏に合うサウンドなんですよ。
でもこの昂るサウンドは、
これからの時期にも合うんだよね!」

そんなふうに勧められたら、
聴いてみるしかない。

気づけば、何十年ぶりかにCDを買っていた。


小さな旅の帰り道


金城市場の軒先に吊るされたカラフルな紙の飾りと、北区の住宅街

帰りの車で、さっそく買ったCDをかけてみた。

窓の外にはいつもの名古屋の街並み、
車内には少し暖かい秋の空気。

流れてきた音楽が、これまた最高だった。
初めて聴くのに、なぜか懐かしい。

どこか遠い場所の景色が浮かんでくるような、
ふと旅に出たくなるような音楽だった。

金城市場の前の路面に落ちる、秋の日差しの影

初夏に合うと言っていたけれど、
10月の名古屋にもよく似合っている。

朝市へ出かけただけなのに、
知らなかった世界を少し覗いて、
小旅行にでも出かけたような気分だ。

秋の日差しが、やけに眩しい。
次の朝市も、晴れるといい。


金城市場・金城朝市 愛知県名古屋市北区清水5丁目32−22 金城市場
開催:毎月第1・第3水曜日 10:00〜14:00
Instagram: @kinjo_ichiba

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T.hori

名古屋生まれ。 メルボルン、マニラを経て、約20年ぶりに地元へリターン。 街も、自分も、すこし変わっていて。 いまは、ローカルな手触りを探しているところ。 Tewatashi Projectでは、個人的で普遍的な地元の日常を、そっと切りとりたいです。

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