Local Stories and Daily Life from Nagoya
御器所と桜山、その真ん中あたりを歩く

何度も通っている道なのに、
歩いたことはあまりない。
御器所と桜山の間。
地下鉄なら、どちらで降りるか少し迷う。
わざわざここで降りることも、あまりない。
そんな場所を歩いてみた。
交差点には「恵方ビル」。
屋上に赤い文字が並んでいる。

車で何度も前を通っているはずなのに、
恵方ビルという名前だったことを、
この日初めて知った。
たまには、
街を見上げてみるのもいい。
その脇へ入ってみる。
細い路地の奥に、
急にオレンジ色の店が現れた。
肉屋と八百屋の「玉屋」。
ビルの隙間にすっぽりと収まるように、
昔ながらの店が今も続いている。
表通りからは、
ほとんど見えない。
こういうところにあるのが、なんかいい。


少し歩くと、
閉まったシャッターや古い看板が続く。
そこには「はぐり屋」の看板も残っていた。
きしめんや味噌カツで知られる老舗。
その支店が、昔ここにあったのだろうか。
その頃を知っているわけではない。


それでも古い看板やシャッターを眺めていると、
このあたりにいろんな店が並んでいた頃の気配が、
なんとなく残っている。
その並びには、
新しい寿司屋もできていた。

せっかくなので、
恵方ビルの中にも入ってみる。
外から見るより、ずっと暗い。
一瞬、足を止めるくらいの暗さ。
その佇まいが、なんとも渋い。

古い廊下や階段。
窓から差し込む日光にも、
妙に味がある。
もう少し歩いて、芳乃家へ。
出てきたきしめんは、
思っていたよりずっと幅が広い。
あんかけきしめんを食べて、
また歩く。


御器所と桜山の間。
何かを見に来る場所というより、
普段はそのまま通り過ぎてしまう場所。
でも、歩いてみると、
ビルの隙間に店があったり、
昔の看板が残っていたり、
表通りからは見えない景色があったりする。
車で通るだけでは、
きっと気づかなかった。
街は、歩かないと見えてこない。