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環境のこと

最初の一歩は、横断幕から生まれたポーチ

3月16日。

春の気配がすこしずつ街に広がる頃。
私たちTewatashi Projectは、名古屋・鶴舞にあるStation AIで
ささやかなワークショップを開きました。

使い終わった横断幕を使って、子どもたちと一緒にミニポーチをつくる、
それだけの、でも確かな“ひと手間”と“ひととき”を共有する時間。

子どもたちが真剣な表情で、廃材からミニポーチをつくるワークショップの様子。

Tewatashiとしての最初の活動。
大きなニュースではなく、手のひらにおさまるようなサイズ感の取り組み。
けれどそこには、“手渡す”ということの原点があった気がします。

素材となったのは「ターポリン」。
屋外広告やイベントの横断幕、テントやトラックの幌、防災用のシートなど、
日常の風景にひっそりと溶け込んでいる存在です。

棄予定だった横断幕のロール。ワークショップの素材として使われたターポリン。

ポリエステルの布に、合成樹脂フィルムをコーティングしたこの素材は、
防水性や耐久性に優れ、あらゆる場所で使われています。
でもその一方で、自然には還らず、燃やすにも環境負荷が高い。
そんな、行き場を失いやすい素材でもあります。

今回のワークショップでは、そんな“もう使わないもの”に、
もう一度、目を向けてみることから始めました。

寄付していただいた廃棄予定の横断幕を前に、
子どもたちは、はじめて触れる素材に戸惑いながらも、
自分の手で形にしていくうちに、表情が少しずつ変わっていきました。

素材選びから仕上げまで、参加者が自分の手でつくりあげていくアップサイクルワークショップの風景。

“むだ”に見えていたものが、“つかえる”ものになっていく。
そんな手応えが、すこしずつ積み重なっていくようでした。

このポーチが、特別な機能を持っているわけではありません。
でも、自分で選んだパーツ、縫った糸のあと、柄のひとつひとつに、
“自分がつくった”という感触が残る。

その小さな経験が、
「捨てる」から「つながる」へ、「無関心」から「気づき」へ、
視点をそっと動かしてくれるきっかけになるかもしれません。

子どもが完成したアップサイクルポーチを手に笑顔を見せる様子と、制作工程や材料が写されたコラージュ写真。

私たちTewatashi Projectは、これからもこうした活動を、
大きく叫ばず、小さく続けていきたいと思っています。

誰かの日常と、誰かの想いが交差するような場所で、
ふと手渡せるようなものを、ひとつずつ。

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ナカシマ ケンタ

ナカシマ ケンタ

こんにちは。ようこそTewatashiプロジェクトへ

株式会社バズ・プランニングの代表

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