Local Stories and Daily Life from Nagoya
カルチャー
ひかえめな記録: Vol.2|朝9時の沢上商店街

金山駅を出て、信号をいくつか越えたところ。
名古屋市熱田区の沢上商店街には、まだ目覚めきらないまちの匂いが漂っていた。
朝9時、平日。
打ち合わせまで少し時間があったので、なんとなくその商店街を歩いてみた。
電動カートで店の前を通り過ぎるおじいさん、ゆっくり歩くおばあさん、
そして、どこからか聞こえてくる保育園の子どもの声。
日常が、のびをしながら動きはじめたとこだ。
角を曲がるたびに、違う昭和が顔を出す。
立ち止まって見上げた商店の古い看板、植木鉢の隙間に置かれた紙袋、
錆びたシャッターの隙間からのぞく影。
“ひと気がない”とは違う、確かな人の気配と生活感。
沢上商店街は、朝の光の中で、まだ静かに深呼吸をしているようだった。
特別な場所じゃない。だけど、なんだか引き寄せられる気配。
この空気も、音も、すれ違った誰かの後ろ姿も。
思い出はないけれど、懐かしい。
そんな朝の記録です。






