Local Stories and Daily Life from Nagoya
茶屋ヶ坂「四川閣」、最後の夜。

茶屋ヶ坂の中国料理「四川閣」が、
2026年10月31日をもって閉店した。
辛口担々麺で知られる、29年続いた町中華。
建物の取り壊しが理由だという。
次は何ができるのだろう。マンションだろうか。
最終日の夜、最後の一杯を食べに行った。


四川閣といえば、駐車場のある裏口から入るのが、
なんとなくお決まりだった。
正面玄関があるのに、裏口から入る。
これも地元ならではの作法なのかもしれない。
少しくたびれた壁紙に、厨房から漂う中華料理の匂い。
いつもと変わらない店内は、
最後にもう一度と訪れた常連さんたちでいっぱいだった
麻婆豆腐に回鍋肉。
きっと、それぞれにお気に入りの一皿があるのだろう。
僕らが最後に注文したのは、名物の蒜泥白肉(スワンニーパイロウ)。薄切り豚肉にニンニクと唐辛子のソースをかけた、あの一皿。

そして、やっぱり辛口担々麺。
いつもの1辛に最後だからと6辛にも挑戦した。
辛い。とにかく辛い。
でも、うまい。
瓶ビールが、やけにうまい。





店内は最後まで賑やかだった。
お客さんからかけられた言葉に、娘さんだろうか、
涙を浮かべる姿もあった。
29年間。
きっと、数えきれないほどの担々麺が運ばれ、
たくさんの胃袋を満たしてきたのだろう。
帰り際、いつもの裏口でお父さんにお願いした。
「最後に一枚、写真を撮らせてもらってもいいですか?」
にっこり笑って、カメラに収まってくれた。
その笑顔が、なんともよかった。

またどこかで店をやるとか、やらないとか。
本当のところはわからないけれど、ちょっと期待してしまう。
いつもの裏口から出る。
29年間、ここにあった四川閣。
次に何が建つのかはわからない。
あの裏口と、あの笑顔。
そして、あの辛さも。
しばらく忘れそうにない。
四川閣 愛知県名古屋市千種区茶屋坂通2丁目39−1