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ひかえめな記録:Vol.3 |この感じ、夏の入口

名古屋の6月。
まだ梅雨も明けていないのに、
空もアスファルトも、すっかり夏の顔をしていた。

土曜日の朝、
「公園で子どもたちと水遊びするよ」
そんな、近所からの軽いメッセージ。

特に予定もなかったから、
息子たちを連れて、バスタオルと水筒を手に、そっと出て行く。

誰かがビニールプールを持ち寄り、
園内の木陰にはブルーシート。
まだ朝の光がまぶしいころ、
子どもたちはもう夢中で、
うっすら汗をにじませながら、水に飛び込んでいた
笑い声が、木々に反射してかえってくる。


その横で、大人たちもなんとなくビールを開ける。
予定したわけじゃないけど、そうなった。

日陰を探して移動する。
すべり台の裏、フェンスのそば、木の根元。
自分の影を踏みながら歩く時間。

地面の照り返しも、冷えた缶の感触も、
いまだけの温度。

17時すぎ、風が少しやわらかくなってきて、
なんでもない風景が、ふと、すこし愛おしくなる。

公園の側溝に揃えて置かれた子どもの上履きと午後の木漏れ日。

特別じゃないけど、
「これでいい」がいくつも重なる午後。

そんな、夏のはじまりの記録です。

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Taro Hori

名古屋生まれ。 メルボルン、マニラを経て、約20年ぶりに地元へリターン。 街も、自分も、すこし変わっていて。 いまは、ローカルな手触りを探しているところ。 Tewatashi Projectでは、ハイパーローカルな日常を、そっと切りとりたいです。

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